ある職場で出会った爽やかなタンクトップの男

6年前の夏に働いていた職場で、ちょっと変わった人物がいました。

そこの同期の友達は、匂いにものすごく敏感な子で、休憩から戻ってきてちょっとのタバコの匂いでもすぐわかっていました。

それによって、喫煙者がわかったほどです。

その子は、汗臭さにも敏感で、やっぱりこの暑さ、そして大人。

汗臭い人はホントに臭いらしいです。

でもその人も好きで汗をかいているわけではないので仕方ないといえます。

いや、その匂いに敏感な子が変わっているのではありません。

ロッカーに1枚のタンクトップが干されていました。

この時期、上着とか誰も着てこないのでガラ空きのハンガー掛けでやたら目立つ存在になっていました。

誰の?ってことになり、噂ですぐその主が判明しました。

その主は、わりかし爽やかな感じの人で、あの敏感な子でさえ、その人から汗臭さは全く感じなかったらしいのです。

そもそも、私の勤務地は駅直結であり、ビル内は冷房ががんがんでどうしたらそんなに汗がかけるのか知りたいくらいです。

とりあえず、その爽やか青年は、会社まで自転車か歩きで通勤しているらしく、その干してあるタンクトップを着てくるらしいのです。

そして汗まみれになった自分の体の汗をトイレ内で拭きとっていたようです。

メンズビオレを使っているのではないかというのが私の勝手な予想でした。

そこまで、気を遣うのに、汗まみれのタンクトップを共用のロッカーにかつ裏返しに干し、 またそれを着て帰っていたようです。

私は、ちょっとその爽やか青年に惹かれていたものの、そのタンクトップの事情を聞いてから興冷めし、微妙な恋心は一気に散りました。

もし、その人がリーダーでなく、同期で何でも話せる立場だったら、替えのタンクトップを持ってきてもらい、

その汗まみれのタンクトップは自分のカバンなりロッカーなりにしまっておくことを勧めたかったです。

しかし、そのアドバイスが出来ないままこの職場を去りました。