電気毛布のある生活

寒い季節になると、とにかく布団から出るのが辛い。
この場所にいる限りは安全だが、少しでも布団をから出れば、そこは冷たい空気に満たされた危険地帯。

仕事などいい。食事をとることさえも放棄しよう。
今、私に必要なのは暖かさと睡眠。そしてこの安全な布団の中で、安らかな眠りに再びつくのだ……!
というバカな妄想をしていると、家族が布団をはぎにくる。

「朝ごはん食べて出かけなさい! 顔も洗って!」
そうして、現実に引き戻された私は、現実的な一日を始める。

大体冬はそのような感じで過ごしているのだけれど、今年から少し、変化したことがある。
布団の中に電気毛布を入れるようになったのだ。当たり前の話だが、とにかく暖かい。
今までは冷たい布団に入って、自分の熱でしばらく暖めねばならなかった。
しかし、布団に入る前に電源を入れておけば、敷布団も掛け布団も、自動的に暖かい状態になる。

夜中、トイレへ行って戻ってきても、電気毛布の電源が入っているおかげで実に暖かい。
なんという幸せだろうか。

その話を友人にすると、「お前、そんなことをよく目を輝かせて語れるよな」
……などと鼻で笑われてしまったが、快適な眠りは人類にとって非常に重要なことなのである。友人はどうやらその点を理解していないらしい。

最近、布団に入るのが早い私の様子を見て家族が、「何だか布団に食べられてるみたいに見えるよ」と苦笑していた。
もしかしたらそうなのかもしれない。

しかし、困ったこともある。布団から外に出るのが、以前より辛くなった。
布団の中と外の温度差は以前とは別次元で、顔を洗いながら布団に戻りたいという衝動さえ起きる始末だ。
ああ、このまま布団に食われ続けて、消化されてしまいたい。

そんな現実逃避をしながら、いつもの現実的な一日が始まる。